皆様ご機嫌麗しゅう
さて、NHKをぶっ潰すはずのあの党は、先の参院選で
年金受給者のNHK受信料の無償化を訴えてました。
あれ、ぶっ潰すんじゃなかったの…
※未納世帯にスクランブルかけるのは賛成ですが・・・
ただ、NHKを潰されてしまうのは困ります
なぜなら、
ワタクシNHKめっちゃ利用してますから。。。
- 採算度外視のドキュメント
- かなり幅が広いラジオ
- 良質なドラマ
- Eテレ
- BSの旅行モノ(火野正平の『こころ旅』たまんないんじゃ~)
で、今クール、
ワタクシが超楽しみにしてたドラマが
『空白を満たしなさい』
ワタクシ平野啓一郎のファンで、ほとんどの作品読んできました。この作品は、いつか映像化したらいいなとお持っとったんですよ。
見逃せるはずがありません。
で、本日7/30、いよいよ最終回です・・・
因みにこんなストーリーです
引用ここから
「あなたは亡くなったんです、3年前に」
ある日突然、身に覚えのない己の死から復活した男。
会社の屋上から転落したというが、全く思い出せない。
最愛の妻と幼い息子を残して、なぜ自分は死なねばならなかったのか……?
答えを追い求める男がたどりつく真実とは……。
引用ここまで ※『空白を満たしなさい』サイトから引用
10年前の小説で、内容が内容(自死と自分との向き合い方がテーマ)だけに手に取るのが重く、再読できずにおりました。
が、初回・2回目とドラマ観終わった後に気が付いたんです。
内容をほぼ覚えてないんですよワタクシ。。。
で、ネタバレしないように再読せず我慢していたのですが、続きが気になって再読しちゃいました。
今読み返すと・・・やっぱりキツイ。特に親としての目線が以前よりも強くなっているので、それがキツイ。。。
けど、小説として面白いです。。。
というわけで、今回は
ここからネタバレ&ややショッキングな内容を含みます
- 未読でこれから原作読む予定の方
- ドラマ最終回までネタバレスンナボケという方
は明日以降にご覧くださいませm(__)m
自死についての表現が多数出てきますので、そういうのちょっと・・・という方もお控えくださいm(__)m
主人公の徹生(てつお)は、自殺だったことが後半わかってくるのですが、なぜ、自ら死を選んだのかに対して、ドラマの第4話で、佐伯という気味の悪いキャラが、何枚もあるゴッホの自画像を使って、徹生にこんな質問をします
『あなたは、どのゴッホがどのゴッホを殺したとおもいますか?』
これに対して徹生が答えられずにいると佐伯は
『耳を切り落とした直後のゴッホを、他のすべてのゴッホが殺したんですよ』
と答えるんです。
錯乱して自分を見失うような情けない自分(ゴッホ)を、そうじゃない状態の自分(ゴッホ)が、寄ってたかって殺したんだ、と。
自分が自分を殺す!?分裂症?多重人格?と思うかもしれませんが、この発想は、
平野啓一郎の『分人』という考え方を盛り込んでいます。
個人って、英語で”individual”と表しますが、
”分けることができない”という意味です。
この分人というのは、”dividual”私個人は一つの本当の自分だけでなく、
- 家族の前での自分
- 一人の時の自分
- 趣味に没頭しているときの自分
- 仕事の時の自分
というように、立場や相手によって複数の自分(=分人)がいるのが当たり前で、そのすべてがいわゆる本当の自分なんだというのが出発点です。
なので、
その場に最適な自分(=分人)が出てくることは、何も悪いことではないのです。
しかし、、、
悲観的で苦しい分人を、他の分人が認めたくないとき自ら死を選んでしまうんです。そんな情けない自分を自分が認めたくないから。。。
だから、徹生も、自分の死が自らによってだったことを知った後、
「自殺したのはまっとうに生きたかったから」
という、一見矛盾した心情を吐露します
すごくわかります。すごく・・・
よりよく生きるために、ダメな分人だけ消したいんです。
でも、いくら分人とは言え、あくまで人格の話、自分の体は当たり前ですが不可分です。
で、この最大のテーマである
自死について
以前もっと掘り下げて書きたい!とこの記事でも書いておりました。
『赤い公園』の津野さん。
あんないい歌詞・いいミュージックが書ける人がもういない。
正直今でもつらい・・・
車で流していて、ふいに涙に襲われることが結構あります。
しかも正当な評価を受けていない。
さて、
自死の直前30分は、空白の時間と言われているそうです。辛いとか、怖いとか、痛いとか、そういったことを考える余裕もないような空白の時間。
なので、その瞬間に我に返る何かがあると、踏みとどまるケースが多いんです。
※ここ数年続く、有名人の自死も、空白の30分が”誰もいない状態”で訪れてしまったのが最大の原因ではないかと思います。
なので、生きたいのにうっかり死んでしまった、という方が一定数いらっしゃるのではと思います。(軽い表現になってしまいますが、最適な表現が思いつかなかったので)
津野さんも、何かが止めてくれれば、死なずに済んだのかなぁ。
でも24時間監視し続けるのもされるのも嫌だし不可能ですよね。。。
ワタクシ自身、自死が絶対悪だとは思いません。
が、
ふとした瞬間「死にたい」と思うことはあっても、本当に死にたくて死にたくてしょうがない人って、いないはずなんです。
そして、死んでしまったら、当たり前ですが元に戻ることはできません。
そんな生きたいはずの人の自死を減らしたいのはワタクシも同じです。
人生はハッピーで満ち溢れているとは言えないかもしれませんが、うっかり死んでいいものではない。
そして、死ななくてもよかったはずの人の空白の30分を満たすヒントが、『空白を満たしなさい』に隠されているように思います。
※見逃した方は、是非小説版をご一読くださいm(__)m
超絶重いハナシでしたが、なんせ哲学野郎だったのでね。。。
ではまた、月曜日に。
次の更新は8月1日・・・
もう八月か。
雪がこわいな・・・
2 thoughts on “30分の”空白”を満たしなさい・・・”